ソフトバンクグループの決算発表を見ると、営業利益が赤字なんですが、純利益が黒字になっています。これはどういうことなんだろう?
本記事では、このような疑問に答えていきます。
本記事の内容
2020年2月12日に、ソフトバンクグループの2020年3月期 第3四半期決算の決算発表会がありました。
報道では「大赤字決算」と取り上げられてますが、純利益は4,766億円もの黒字とのことです。
これはどういうことなのでしょうか?
営業利益と純利益
まず、言葉について整理します。
「営業利益」は、売上高から、販売する商品の原価と、販管費(従業員の給与、水道光熱費、オフィス賃料、減価償却費など会社運営に必要な経費)を差し引いたものです。
「(当期)純利益」は、営業利益から営業外費用・営業外利益、特別損失・特別利益、税金を差し引き、残った金額を指します。
関係を図で示すと、下記の通りとなります。
ソフトバンクグループで何が起こったか
上記の関係図から、「営業利益が赤字だが、純利益が黒字」というのは、営業利益のマイナス分を打ち消すほどの「営業外収益」か「特別利益」があった、ということが推測されます。
ソフトバンクグループは、2020年3月期 第3四半期決算では、営業利益は-130億円、純利益は4,766億円となっていますが、詳細を見ていきましょう。
営業利益→純利益の間にどのような変動があったか、決算資料を調べました。
すると、主要因は「アリババ株の売却益」ということが分かりました。
確かに、2020年3月期 第1四半期に、アリババ株の売却を行っていたようですね。
ソフトバンクグループ(SBG)は4日、保有株の一部を売り出していた中国・アリババ集団の株式売却が完了したと発表した。2019年4~6月期の連結決算に売却益や関連する金融派生商品の取り崩しで税引き前利益に計1兆2000億円を計上する。現金の出入りは発生しない会計上の利益になる。3年前に始めた一連の取引でSBGが手にした利益は約6900億円になる。
ソフトバンクG、アリババ株関連で利益1.2兆円 :日本経済新聞
つまり、営業利益のマイナス分を、このアリババ株の売却益1.2兆円で補ったため、「営業利益は赤字、純利益は黒字」となったわけです。
ちなみに、株式の売却による利益は「有価証券売却益」と言います。「営業外収益」になるか「特別利益」になるかは明確がルールはないらしく、売買目的であれば営業外収益、子会社株式売却や固定資産が勘定に入るものは特別利益、とのこと目安とのことです。
決算資料上には書いてありませんでしたが、おそらく特別利益で経常されているかと思います。(間違っていたらすみません)
おわりに
経理分野について、勉強すると会社の動きが分かって面白いです。
将来的に、簿記に挑戦してみたいなと思いました。
参考文献
下記サイトを参考にさせて頂きました。
5種類の利益の違い(粗利、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益) – 社会人の教科書
有価証券売却益とは?求め方や表示区分(営業外収益・特別利益)もわかりやすく解説します | ストーリーとアートでみがく会計力